めぐみの音楽 Y.K.
教会の礼拝で流れる音楽はパイプオルガンによって私たちを包み込んで心を落ち着かせて、神様からのメッセージを素直に受け入れ心の平安を与えてくれる不思議な力があるように思います。そんな力のある音楽を信じて今も認知症高齢者の音楽療法をしています。活動のきっかけとなったのは阪神淡路大震災でした。震災で心に大きくダメージを受けた人たちに心のケアをと音楽仲間が集い、施設や仮設住宅 復興住宅を訪れ音楽療法をしてきました。その中で、人は音楽によってその心を豊かにし励まされる事があるということを経験してきました。その活動がみとめられ兵庫県では県が音楽療法士を育成しています。
今は亡き医師の日野原重明先生は自身も音楽療法の研究をされていて、心理学 医学、音楽と別々にあった音楽療法の研究組織をまとめて今の日本音楽療法学会を立ち上げて理事をされ100歳を過ぎても精力的に活動されていました。
認知症の方は多くがアルツハイマー型認知症で、次第に脳が萎縮していき短期記憶がなくなり新しい記憶が入らなくなります。
例えば食事をとったすぐ後にまだ食べていないと言ったり、トイレに行ったすぐ後にまたトイレに行くというという行動が起こります。初期のころの認知症の方は自分が変だと感じています。そのため何度も同じことを聞き不穏になるということもあります。しかし新しい記憶が入らないけれども昔の記憶はしっかりと残っています。
そこで音楽療法では、子どもの頃に歌った歌や若い頃好きだった曲などをピアノの伴奏で歌います。あるデイサービスでは、歌っている間にどんどん歌を思い出して、リクエストで1時間があっという間に過ぎてしまいます。また不思議な事に、ずっとデイルームを徘徊している人や5分おきにトイレに行く人も音楽が鳴っている間はみんなの輪の中にじっと座っています。みんなで歌う馴染みの歌が精神を安定させているように思いますが、音楽はもっと違う大きな力があるように私は思います。
私自身も昔を思い出します。
マラナ・タ マラナ・タ 主のみ国が来ますように
マラナ・タ マラナ・タ 主のみ国が来ますように