✧エルピス(ἐλπίς希望)~信徒のあかし~

「日常の小さな喜び」  H.U.      

今年も残すところあと半年となりました。未だ状況が変わらないこのご時世、皆で集まり礼拝し讃美することに制限がかかり、私自身も教会に足を運ぶ機会が減ってしまいました。

 最近は毎日職場と家との往復ばかりで、休みの日はほとんど家でゆっくり過ごしています。ここに書けるような大きな出来事はありませんが、少しばかり印象に残った出来事があったので、そのことについて書こうと思います。

 ある日何気なくテレビをつけると、金曜ロードショーで映画『タイタニック』が放送されていました。この世で知らない人はいないくらい有名な映画ですが、実は私は今まで一度も観たことがありませんでした。とりあえず一回は観ておいた方がいいかな、くらいの気持ちで見始めたのですが、どうやら前編後編に分けて2週に渡って放送されていたらしく、私が見始めたのは後編からでした。この映画を観たことがない私でも知っている、あの最も有名な甲板での2人のシーンは、前編で放送されていたようです。私が見始めた時にはもう船の沈没がかなり進んでいました。

 救命ボートの数が少なく、子どもと女性を優先的にボートに乗せていくしかない状況で、我先にと無理やり救命ボートに乗り込もうとする人がいたり、この状況に絶望し自ら海の中に飛び込もうとする人がいたり、はぐれてしまった子どもを自分の子どもだと偽り、自分だけ助かろうとする人がいたり、乗客がパニックになっている様子は見ていて苦しくなりました。

 あまりに緊迫した状況に耐えられなくなり、チャンネルを変えようとした時、突如ヴァイオリンの演奏が静かに始まり、耳馴染みのある曲が流れてきました。おそらく皆さんは、どのシーンのことかすでにおわかりかと思います。船が沈みゆく中、甲板で音楽団が「主よみもとに近づかん」を四重奏で演奏するシーンです。この演奏を聴いているだけで心が穏やかになり、目が離せなくなりました。また、沈没間際にこの曲を演奏した覚悟を思うと、涙が止まりませんでした。まさか映画のシーンの中で讃美歌が聴けるとは思っていなかったので、私にとってはとても印象的で一気に引き込まれました。

 学生の頃は、毎週学校のチャペル奏楽をしていたので、讃美歌に触れる機会が多く、今思うととても恵まれた環境だったなと、ふと思い返すことがあります。社会人になってからはオルガンを弾く機会がほとんどなく、礼拝の時しか讃美歌に触れる機会もなかったので、普段の生活で何気なく見ていた作品から讃美歌が流れたことがとても嬉しくて、なんだか心が救われた気がしました。

 キリスト教に関することがテーマになっている映画や、讃美歌が使われているシーンなど、もっと知りたいし見てみたいと思いました。まだしばらくは家で過ごすことが多いと思うので、何かおすすめがあれば教えていただきたいです。まずは、タイタニックを最初から全部観ることから始めようと思います。

 

 最近、礼拝ではオルガンの奏楽を聴きながら黙想するのみで、皆で讃美歌を歌うことができずにいます。早く世の中が落ち着いて、皆で讃美することができますように。